基本情報技術者の合格に必要な勉強時間は?短期合格のための勉強法や独学可能性も考察
就職や転職のため、あるいは自身のスキルアップのため、基本情報技術者の資格取得を目指される方は多いです。 一方で、一つランクの低いITパスポー…
2023年4月の新試験制度適用により、基本情報技術者試験の午後試験は科目B試験へと生まれ変わりました。
それに伴い、従来の出題範囲や試験時間が大きく変更されており、これから試験対策を行なわれる方は、これらの情報を最低限キャッチアップした上で、効果的な試験対策を行う必要があります。
以下では、基本情報技術者試験の科目B試験(旧午後試験)について詳しく解説していきます。
目次
基本情報技術者試験は、午後試験が科目B試験へと生まれ変わり、それに伴い様々な箇所で試験制度の変更が加えられています。
特に以前の試験を受験されていた方は、大きな変更に対応する必要があるため、下記で説明する内容をよく踏まえた上で新試験対策にしっかりとアジャストしていく必要があります。
科目B試験の出題範囲は次のとおりです。
<データ構造及びアルゴリズム(擬似言語による出題)>
出題範囲(大項目) | 出題範囲(小項目) |
---|---|
プログラミング全般に関すること | 実装するプログラムの要求仕様(入出力,処理,データ構造,アルゴリズムほか)の把握 使用するプログラム言語の仕様に基づくプログラムの実装 既存のプログラムの解読及び変更 処理の流れや変数の変化の想定 プログラムのテスト 処理の誤りの特定(デバッグ)及び修正方法の検討 など |
プログラム処理の基本要素に関すること | 型,変数,配列,代入,算術演算,比較演算,論理演算,選択処理,繰返し処理,手続・関数の呼出し など |
データ構造及びアルゴリズムに関すること | 再帰,スタック,キュー,木構造,グラフ,連結リスト,整列,文字列処理 など |
プログラミングの諸分野への適用に関すること | 数理・データサイエンス・AI などの分野を題材としたプログラム など |
<情報セキュリティ>
出題範囲(大項目) | 出題範囲(小項目) |
---|---|
情報セキュリティの確保に関すること | 情報セキュリティ要求事項の提示(物理的及び環境的セ キュリティ 技術的及び運用のセキュリティ) マルウェアからの保護 バックアップ ロ グ取得及び監視 情報の転送における情報セキュリティの維持 脆弱性管理 利用者アクセ スの管理 運用状況の点検 など |
出典:試験要綱Ver5.0
従来は、上記2分野以外にも、マネジメント/ストラテジ分野や特定のプログラミング言語からの出題もなされており、出題範囲がより広範なものでしたが、現在は上記2つの分野に出題が絞られており、要求されるスキルセットがより明確なものとなりました。
出題の割合でいくと、「情報セキュリティ」が2割、「データ構造及びアルゴリズム」が8割となっており、後者の出題ウェイトは従来試験と比較しても大きく増加しています。
よって、プログラミング・アルゴリズムが苦手な方は合格が限りなく難しい試験へと変貌してしまったため、これらの分野については特に重点的に学習を進めていく必要があります。
旧午後試験では、主に長文形式の問題が廃止され、小問形式の問題が出題されるようになりました。
また、それに伴い試験時間・問題出題数・解答数も従来と比較して大きく変化しています。
改正前後での変化は次の通りとなります。
旧午後試験 | 科目B試験 |
---|---|
試験時間:150分 出題数:11問 解答数:5問(選択問題あり) | 試験時間:100分 出題数:20問 解答数:20問 |
試験時間は従来と比較して1/3減少しており、コンパクトな試験へと生まれ変わりました。
一方、出題・解答すべき問題の数は試験形式の変更に伴い、共に大きく増加しています。
よって、従来の試験と比べてタイムマネジメント術が大きく異なるため、注意が必要であると言えるでしょう。
科目B試験は採点方式にも大きな変更が加えられ、従来の素点方式から、IRT方式へと変更となりました。
このため、純粋な点数だけでは合否が判定されないため、注意が必要です。
また、この採点方式に則り判断される合格基準点は変更前後で共に全体の6割の点数を取得することとなります。
基本情報技術者試験では、試験制度変更後も科目A(旧午前)試験において試験免除制度が設けられており、IPAから認定を受けた講座を受講して、最終的に修了試験を突破することで、制度の適用を受けることができます。
別途料金は発生するものの、
など、メリットも多い制度であるため、ぜひご興味のある方は挑戦を検討してみてください。
資格学習の基本となりますが、学習の全体的な方向性として、復習をベースに学習を進めるようにしましょう。
基本情報技術者試験の午後試験は、合格基準が全体の6割と設定されており、標準的な難易度の問題を取りこぼさないことで十分合格を狙うことができるのです。
よって、まずはテキストに掲載してあるような基本問題をやりっぱなしでどんどん次に進んでいくのではなく、しっかり復習・定着させた上で次に進むようにしましょう。
科目Bの試験問題に取り組む前に、まずは科目A試験の対策を徹底的に行い、基本的なIT知識をしっかりと理解する必要があります。その理由は、科目Bの問題が科目Aの知識を前提としているため、科目Aの理解がなければ十分に解答することが困難となるからです。
科目Aの試験内容は比較的基礎的で容易なので、初めにこの部分の理解と対策を最優先にすることが重要です。一方で、順序を飛ばして科目Bの過去問題に首尾良く取り組もうとすると、用語やコンセプトの理解が足りず、効率の悪い学習となるリスクがあります。
したがって、学習戦略としては初めにインプット、つまり知識の吸収に重点を置き、堅固な知識の基盤を築くことが推奨されます。テキストをじっくりと読みながら、適宜問題を解くことで基本的な知識を段階的にマスターしていくことが可能です。
科目Bの問題に対する理解力を向上させるためには、長文の内容をすらすらと理解できるレベルに到達するまで、IT用語の理解に注力しましょう。そのためにも、まずは科目Aの内容をしっかりと理解し、知識の土台を作ることが重要となります。
科目B試験では、アルゴリズム・プログラミングに関する内容が出題の8割を占めて
おり、これらの内容を苦手とすることは試験合格に大きく遠のいてしまうことを意味します。
初学者にとっては慣れない概念・単語が頻発する分野であるため、初めのうちは苦手意識を持たれる方も多いですが、基本的な概念の習得をベースにじっくりと時間をかけて内容をマスターしていく必要があります。
新試験では、過去問が公表されていないものの、サンプル問題は公式HP上にて公表されており、対策の早い段階で本番の形式を確認しておく必要があります。
こちらの問題をチェックすることで、本番での立ち回り方やタイムマネジメント戦略をある程度具体化しておくことが必須となります。
各問題に対する割く時間を予め設定することが、問題を解く上で大切になります。
科目B試験では以前の午後試験に比べて問題数が増えているため、特にこの点は強く意識しておくことが大切になります。
そのため、1問ごとにかける時間を事前に決めて問題演習に取り組まれると良いでしょう。
日常的な問題演習を通じてこの要点を意識し、継続的に練習を積み重ねることで、制限時間内で解答を進めるテクニックを身につけていきましょう。
設問を事前に読み、求められている情報を理解することも、問題を解く上で大切な要素となります。
設問には問題解決のために本質的でない部分も含まれているため、大切な部分とそうでない部分をメリハリを持って読むように、普段の学習から意識していきましょう。
また、この設問の意図を把握する能力は、試験学習を通じて自然と身につきづらい能力です。
このため、練習中から解答の正誤に留まらず、そのプロセスにおいてしっかりと問題文の意図を掴んだ上で解答を行うことができたかを検討することが大切になります。
基本情報技術者の科目B試験の制度変更後の注意点から対策方法まで解説してきました。
アルゴリズム・プログラミング分野の重点的な学習が欠かせないので、こちらを苦手にしていらっしゃる方は、しっかりと腰を据えた上で学習を進めていくようにしましょう。