FP2級の実技試験は5種類!科目の選び方と試験対策について紹介
この記事では、FP2級の実技試験の特徴や選び方のポイントを詳しく解説します。
FP2級の資格を取得することで、お金の専門家としてのキャリアが開けます。しかし、FP2級の試験は専門的な知識が問われるため、合格までには効率的な勉強方法が必要不可欠です。本記事では、FP2級試験の概要から勉強時間の目安、独学での合格のコツまで解説します。FP2級の合格を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ファイナンシャルプランナー(FP)とは、個人や法人に対して資産運用や財務などのマネープランを立案するお金の専門家です。FPの資格試験は、一般社団法人 金融財政事情研究会(きんざい)とNPO法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)の2団体が実施しています。
FP2級は、FPとしての基礎知識を証明するFP3級の上位資格にあたります。FP2級に合格することで、より専門的かつ実践的なマネープランの立案能力が認められ、お金のプロとしてのキャリアを築くことができます。
また、FP2級の資格は生涯有効のため、一度取得すれば更新の必要がありません。金融機関や保険会社などでのキャリアアップや独立開業に役立つほか、自身のライフプランニングにも活かせる知識が身につくでしょう。
FP2級試験の概要は以下の通りです。
試験実施日 | 2024年5月26日(日)、9月8日(日)、2025年1月26日(日) |
申込受付期間 | 試験日の約2ヶ月前から1ヶ月前まで(実施団体により異なる) |
受験資格 | 3級FP技能士または2年以上のFP関連業務経験、AFP認定研修修了者など |
出題分野 | ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継 |
出題数 | 学科試験60問、実技試験は40問または事例形式5問 |
試験合格ライン | 学科・実技ともに正答率60%以上 |
試験時間 | 学科試験120分、実技試験90分 |
出題方式 | 学科試験は四肢択一式、実技試験は四肢択一式・語群選択式・計算記述式・事例形式 |
試験会場 | 全国の主要都市で実施(実施団体により異なる) |
受験費用 | 学科試験5,700円、実技試験6,000円(税込・2024年5月試験の場合) |
支払い方法 | クレジットカード払い、コンビニ払い、団体払いなど |
FP2級試験は学科試験と実技試験の2つに分かれており、どちらも合格する必要があります。実技試験は、資産設計提案業務、個人資産相談業務、中小事業主資産相談業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務の5種類から選択します。
実技試験は、自身の専門分野や将来のキャリアプランに合わせて選択するのがおすすめです。金融機関への就職を目指すなら資産設計提案業務、保険会社なら生保顧客資産相談業務など、目的に応じた実技試験を選びましょう。
FP技能検定は、日本FP協会が実施する国家検定で、難易度に応じて3つのレベルに分かれています。以下の表は、各レベルの試験概要と過去3年間の合格率をまとめたものです。
FP試験レベル区分 | 試験形式 | 合格率(過去3年) |
3級FP技能検定 | 学科試験、実技試験 | 70%~80% |
2級FP技能検定 | 学科試験、実技試験 | 40%~60% |
1級FP技能検定 | 学科試験、実技試験 | 10%~20% |
FP2級は、3級と1級の中間に位置するレベルの資格です。3級と比べると出題範囲が広く、専門的な知識が問われます。
特に、ライフプランニングと資金計画では中小企業の資金計画が、タックスプランニングでは法人税務や消費税、相続・事業承継では事業承継対策などが追加で出題されるため、幅広い分野の知識が必要となります。
FP2級の試験は、金融や経済、税金、不動産、相続など幅広い分野から出題されるため、専門的な知識が問われます。そのため、独学で合格するには、しっかりとした学習計画を立て、効率的に勉強を進めていく必要があります。
FP2級の受験勉強には、大きく分けて2つの方法があります。ひとつは独学で学ぶ方法、もうひとつは通信講座や通学講座を利用して学ぶ方法です。それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、自分に合った勉強方法を選びましょう。
独学での勉強とは、市販のテキストや参考書、問題集、インターネット上の情報などを活用しながら、自分のペースで学習を進めていく方法です。教材選びから学習計画の立案、勉強時間の確保まで、すべて自分で管理しながら勉強を進めていきます。
独学が向いているのは、自分で学習計画を立てられる人、モチベーションを維持できる人、勉強に割ける時間が不規則な人などです。仕事や家事、育児に追われる中で、決まった時間に勉強できない人にとっては、独学のほうが無理なく続けられるでしょう。
また、独学のメリットは、自分のペースでじっくり学べることです。苦手分野を集中的に勉強したり、理解が不十分な箇所を繰り返し復習したりと、自分に合った学習方法で知識を身につけていくことができます。加えて、教材費以外の費用がかからないというのも、独学ならではの大きな利点と言えるでしょう。
一方で、独学にはデメリットもあります。学習計画の立て方がわからなかったり、勉強が思うように進まなかったりした時に、自分で軌道修正しなければなりません。また、疑問点があっても、すぐに質問できる相手がいないことから、理解不足のまま先に進んでしまい、知識の定着が不十分になってしまうこともあります。
さらに、最新の法改正に関する情報収集も、すべて自分で行わなければなりません。変更点を見落としてしまうと、過去問題を使った学習が無駄になってしまうリスクもあるため、常に最新の情報をチェックし続ける必要があります。
通信講座や通学講座では、カリキュラムに沿って学習を進めていきます。講義を視聴したり、テキストを読んだりしながら知識を身につけ、演習問題で理解度を確認するという流れが一般的です。質問や添削などのサポート体制が整っているため、独学と比べて効率的に学習を進められるのが特徴です。
通信講座は、自宅で学習を進められるため、仕事や家事で忙しい人にも向いています。また、オンライン上で講義を視聴できるタイプの講座であれば、通勤時間などのスキマ時間を活用して学習を進められるのも魅力です。
一方、通学講座は、教室に通って対面式の授業を受けるスタイルとなります。講師に直接質問ができるほか、他の受講生と切磋琢磨しながら学習を進められるのがメリットです。スクール通いが習慣化されるため、勉強へのモチベーションを維持しやすいという点も見逃せません。
ただし、通信・通学講座ともに、独学と比べて費用がかかります。また、カリキュラムの進行に合わせて学習を進める必要があるため、特に通学講座は自分のペースで学習を進めたい人には不向きかもしれません。
FP2級の試験に合格するためには、効率的な勉強方法を実践し、着実に知識を身につけていく必要があります。独学で合格を目指す際には、限られた時間の中でどのように学習を進めていくかがポイントとなるでしょう。ここでは、FP2級合格までの勉強時間の目安や、独学での効果的な学習テクニックを解説します。
FP2級の合格に必要な勉強時間は、一般的には150時間から300時間程度と言われています。ただし、この時間はあくまで目安であり、個人の学習スピードや理解度によって大きく異なります。すでにFP3級の資格を持っていたり、金融業界での実務経験があったりする人であれば、比較的短い時間で合格レベルに到達できるかもしれません。
一方、FPの知識が全くないような初学者の場合は、300時間以上の学習時間が必要になるケースもあるでしょう。仮に社会人が1日1時間の勉強を続けるペースだと、150時間であれば約5ヶ月、300時間なら10ヶ月ほどの期間を要することになります。ただし、勉強時間の確保が難しい日もあるはずです。試験日までに余裕を持って学習を始められるよう、早めにスタートを切ることをおすすめします。
FP2級の試験は、ファイナンシャル・プランニングに関する幅広い知識が問われます。金融資産運用、不動産、税金、相続など、多岐にわたる分野をカバーしなくてはなりません。まずは、体系的にまとめられた参考書やテキストを使って、基礎知識をインプットしていくことが大切です。
FP2級の出題範囲のうち、法令や制度など暗記が必要な部分は全体の7~8割を占めると言われています。条文の数値や要件など、ひたすら覚えるしかない知識も少なくありません。一方で、金融商品の仕組みや不動産取引、相続対策などは、仕組みを理解したうえで問題演習を繰り返し、知識を定着させていく必要があります。
テキスト選びでは、直近の試験に対応した最新版を選ぶことが何より大切。本試験では、法改正のタイミングを狙って改正直後の内容が出題されるケースが多いためです。安価な古いテキストを使うのは避けたほうが賢明と言えるでしょう。情報が古いと、解答の根拠が変わってしまい、学習効率が下がる恐れがあります。
YouTubeなどで無料の動画講座を視聴するのも、学習の理解を助ける有効な方法の1つです。ただし、体系的に学ぶうえでは体系的でない面もあります。あくまでも、参考書やテキストの内容をより深く理解するための補助教材と位置付けるのがよいでしょう。
知識のインプットとアウトプットのバランスですが、「インプット3:アウトプット7」程度の割合を意識するのがおすすめです。机に向かう時間を減らし、次に説明する過去問演習に充てる時間を多く取ることが肝心となります。
FP2級の試験では、過去問と類似した問題が頻出する傾向にあります。知識の定着と得点力アップのためにも、できるだけ多くの過去問を解いておくことが欠かせません。この過程で押さえるべきは、アウトプットの重要性です。
テキストを読んで知識を詰め込むインプットも大切ですが、その知識を使いこなせなければ意味がありません。過去問を解くことで初めて、知識を問題に適用し、解答する力が養われるのです。
過去問の演習は、5年分を目安にするのがよいでしょう。ただし、古すぎる過去問は改正で解答が変わっている可能性があるため注意が必要です。法改正の影響を受けにくいここ3、4年の過去問を中心に演習を繰り返し、出題傾向をつかむことが効果的と言えます。
最近では、Webサイト上で無料の過去問を公開しているところもあります。スマホでも手軽に演習できるため、通勤時間などのスキマ時間を使って効率良く学習を進められるでしょう。
FP2級の学科試験は120分、実技試験は90分で行われます。本番では、制限時間内にすべての問題を解ききる必要があります。時間を測りながら過去問に取り組むことで、設問を読み解くスピードや、計算問題の所要時間をつかむことができます。
本番のペース配分をシミュレーションすることで、スピード感や時間配分を体で覚えられます。学科試験であれば、1問あたり2分程度の目安で進められるよう、演習を重ねることが欠かせません。
このように本番と同じ環境で実践的な演習を行うことで、試験当日に強い心構えがもて試験に臨めます。時間内に問題を解ききる力は、FP2級の合格に欠かせない要素の1つです。数をこなして実践力をつけられるよう、時間を測った演習を繰り返し行うことが極めて重要と言えるでしょう。
FP2級の試験概要から、独学での効率的な勉強法までを解説しました。FP2級は金融や不動産、税務、相続など幅広い分野の知識が問われる試験です。計画的に学習を続けることができれば、通信講座や独学など、自分のペースで学習するかたちでも合格までたどり着くことができるでしょう。
まずは最新のテキストを入手し、基礎知識をインプットすることから始めましょう。学習の際は、暗記部分を集中的に覚え、理解を要する部分は問題演習を通じてじっくり身につけていきます。
知識が一通り身についたら、過去問を数多くこなして、出題傾向を掴むことが重要です。間違えた問題は必ず復習し、苦手分野を克服していきましょう。 最後は時間を測りながら本番形式の演習を行い、試験のスピード感をつかんでおくことが合格への道となります。
限られた時間の中で効率良く学習を進めるためにも、早めに勉強をスタートさせ、継続することが何よりも大切です。特に社会人の方は、忙しい仕事の合間に学習を進める必要があるため、自分のペースで進められる独学はもちろん、より体系的に学ぶことができる通信講座も有効な選択肢の1つです。
FP2級は、金融業界で活躍するうえで強力な武器となります。ぜひ本記事を参考に、FP2級合格に向けて頑張ってください。