基本情報技術者の合格に必要な勉強時間は?短期合格のための勉強法や独学可能性も考察
就職や転職のため、あるいは自身のスキルアップのため、基本情報技術者の資格取得を目指される方は多いです。 一方で、一つランクの低いITパスポー…
これから基本情報技術者試験にチャレンジされる方の中には、試験の内容や各分野の配点が気になる方もいるかと思います。
国家試験の合格を目指すにあたって試験の配点を知ることは、重点分野の把握やそれに伴う学習スケジュールの作成にあたり極めて重要です。
そこでここでは基本情報技術者試験の試験範囲やそれぞれの分野の配点、特徴まで詳しく紹介します。
目次
基本情報技術者試験は、IT技術と知識の基本を測る国家試験で、情報処理に関する国家試験の中でも技術レベル2と位置づけられています。
この試験は、高度なIT人材となるために必要な基本的な知識と技能を持ち、それらを実践的に活用できる能力を証明します。経済産業省によって認定され、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって実施されています。
基本情報技術者試験に合格することはIT人材に必要な基本的な知識とスキルを持つことを示します。そのため、この資格はIT業界でのキャリアを開始するための「登竜門」として認識されることも多いです。
このように基本情報技術者試験はIT業界への進出を考えている方や、現在のITスキルを証明したい方にとって重要な試験となっています。
基本情報技術者試験は以下の2つのセクションで構成されています。
科目A試験(午前試験):これは主にITに関する基本的な知識を問う試験です。電子計算機の基礎、情報ネットワーク、データベース、システム開発技術などの広範なテーマが含まれます。
科目B試験(午後試験):午後の試験は、問題解決の能力や実際の業務に役立つスキルを評価します。アルゴリズムの理解、プログラムの読み書き、システム設計などがテストされます。
なお、2023年4月から基本情報技術者試験の試験内容と形式が大幅に変更されたので、まずは最新の試験制度を把握することが試験の全容把握の第一歩となります。
以下、最新版の試験制度と過去の制度との違いを見ていきましょう。
従来は上期と下期の2回実施されていましたが、会場の試験開催日に則り随時実施となりました。
従来の素点方式から、IRT方式(項目反応理論に基づく採点方法)に変更されました。
従来の「午前試験」「午後試験」から「科目A試験」「科目B試験」に変更されました。
午前試験と午後試験でそれぞれ60/100点以上が必要だったものが、科目Aと科目Bの試験でそれぞれ600/1,000点以上に変更されました。
午前試験が150分で80問、午後試験が150分で11問出題されていましたが、科目A試験が90分で60問、科目B試験が100分で20問となりました。また、解答数もそれぞれ変更となり、科目A試験が60問、科目B試験が20問となりました。また、午後試験の選択問題はなくなり、科目Bでは全問回答必須となりました。
午前試験(科目A試験)の出題範囲は変わらず、午後試験(科目B試験)では、以前は個別プログラミング言語が選択式だったものが、「情報セキュリティ」と「データ構造およびアルゴリズム」が主要な出題内容となりました。
筆記試験からCBT(コンピュータベースのテスト)方式へ完全に移行しました。これらの変更により、試験の性質と対策が従来とは大きく変わることとなりました。
基本情報技術者試験の科目Aは、60問の出題が行われ、これらはテクノロジ系、マネジメント系、そしてストラテジ系という3つの主要なカテゴリーに分類されます。
テクノロジ系は全問題の約41問と大半を占めています。そのため配点が最も大きい科目となります。その範囲は広範で、コンピュータ科学の基本、システム開発の技術、ネットワークとデータベースの知識、そしてハードウェアとソフトウェアに関する理解などが求められます。このカテゴリーでの得点が全体の試験結果、すなわち合格か不合格かを大きく左右するでしょう。
マネジメント系は約7問、ストラテジ系は約12問となっています。これらの範囲では、プロジェクトの管理やIT戦略の立案、ビジネスとITの統合、そして企業におけるITガバナンスなど、技術とビジネスが交差する領域に関する知識が試されます。
そのため、試験の準備としては、テクノロジ系の知識とスキルの習得を優先的に行うべきです。しかしながら、マネジメント系とストラテジ系の知識も無視してはならず、全てのカテゴリーにおいて均衡ある学習を心掛けることが重要となります。
なお、2023年の4月から採点方法がIRT方式に変わったので、1問当たりの配点は固定されておらず、試験回ごとに変わるようになりました(制度変更前は1問あたり1.25点で配点が固定されていました)。
基本情報技術者試験には「科目A試験免除制度」というものがあります。
科目A試験免除制度は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が認定した特定の講座を受講し、その結果科目A免除認定試験に合格した場合、1年間科目A試験が不要となる制度です。
この制度を利用すると、学習負担を大幅に軽減することが可能となり、基礎からスムーズに合格を目指すことができます。特に、効率よく学習を進めたい人にとっては非常に有用な制度と言えます。
ただし、この制度を利用する際には、講座がIPAによって認定されたものであるかを必ず確認することが重要です。認定された講座の受講が試験免除制度の適用条件となるため、その確認は必須となります。
科目B試験は、合計20問から成り、その内訳は「アルゴリズムとプログラミング」の問題が16問、「情報セキュリティ」の問題が4問となっています。
問題数の配分を見てわかるように、科目B試験では「アルゴリズムとプログラミング」の理解が中心的に出題されます。
プログラミングに関する問題は、具体的なコーディング技術だけではなく、プログラムの設計、テスト手法、デバッグ技術についても対象に含んでいます。同様に、アルゴリズムの問題は、アルゴリズムの設計、理解、最適化に関する知識を問うものです。
一方で、「情報セキュリティ」では情報セキュリティの基本的な原則、リスク管理の手法、暗号化技術、ネットワークセキュリティなど、広範なセキュリティ知識を評価対象とします。
科目B試験の対策のためには、プログラミングとアルゴリズムに関する理解を深め、技術を習熟させること、そして情報セキュリティに関する基本的な知識を強化することが必要となります。
なお、こちらもIRT方式の採点のため、1問ごとの配点は試験により異なります。ただし問題数の比率から配点はおおよそ「アルゴリズムとプログラミング:情報セキュリティ=4:1」と考えて良いでしょう。
基本情報技術者試験の学習方法は「独学」「資格予備校への通学」「通信講座(オンライン講座)の受講」の3つに分類できます。
ここではそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう
独学の最大の利点はその経済性です。具体的には、購入するのは教科書や参考書だけでよく、それ以外の費用がほとんど発生しません。また、好きな学習スケジュールを設定できるので、自分のペースで学習を進められます。そのため、特に基本的なIT知識や実務経験が既にある人、あるいは今の自分の実力を試してみたい人には良い勉強法となるでしょう。
しかしながら、独学には少なくないデメリットも存在します。まず、自分で学習計画を立て、それを実行しなければならないため、自己管理能力・精神力が必要です。
また、学習進行上の疑問点や問題が生じたときに、直接質問できる講師や指導者がいないため、自己解決しなければならない点も難易度を上げています。さらに、何をどの程度学ぶべきか、どの教材が最適かを自分で選択しなければならないという負担があります。
そのため、IT業界の初心者の方や勉強がそこまで得意ではない方にとって、独学はかなり困難な挑戦になる恐れがあるでしょう。
基本情報技術者試験の学習方法として予備校の利用は、特に初心者や指導を受けながら学びたい人々にとっておすすめといえます。。
予備校の最大の利点は、効果的な教材と専門的な指導を得られることです。予備校では経験豊富な講師が丁寧に教えてくれるので、独学では理解が難しい概念でもスムーズに学ぶことができます。IT初心者であっても専門的な用語や概念が分かりやすく説明されるので、基礎から着実に学び、理解を深めることができるでしょう。
一方で予備校のデメリットとして、予備校に通学するためには一定の時間と費用が必要となる点があります。
特に働きながら資格取得を目指す方は、決められた授業のスケジュールに合わせることができるのかを考慮すべきでしょう。
また、自分の学習ペースと予備校の進行ペースが必ずしも一致しないこともあり、自分にとって効率的な学習ペースを追求するのが難しい場合もあります。
通信講座の一つの明確な魅力の1つとして、教材の準備が容易であることが挙げられます。教材の選択や学習スケジュールの組み立てに迷うことなく試験準備を進められます。
また、通信講座であればいつでもどこでも学習を進められます。一定の時間を確保するのが難しい社会人や、隙間時間を利用して効率的に学習したい人にはこの点は外せないでしょう。
さらに費用は通学タイプの予備校と比べると安いことが多いです。
このように費用、時間、そして学習スタイルの自由度を独学や予備校と比較した場合、通信講座は特にバランスの取れた方法と言うことができるでしょう。
基本情報技術者試験は、科目Aと科目Bの2部構成で、科目Aではテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3カテゴリから合計60問が出題されます。中でもテクノロジ系が41問と大半を占め、試験結果に大きな影響を与えます。
一方、科目B試験では、アルゴリズムとプログラミング関連の問題が16問、セキュリティ関連の問題が4問の、合計20問が出題されます。両科目の試験内容を理解し、適切な対策を講じることが合格への鍵となります。
試験内容と配点をしっかりと押さえて、効率的に試験対策を進めていきましょう。