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基本情報技術者試験の科目A試験免除制度とは?免除期間や注意点も紹介

基本情報技術者試験の科目A試験免除制度とは、指定された講座を修了し、試験に合格することで科目A試験が免除される仕組みです。

試験申し込み時にこの免除を申請する必要がありますが、無事に免除資格を得ることでその後1年間科目A試験を免除して基本情報技術者試験にチャレンジすることができるようになります。

本記事では、この科目A試験免除の方法、適用手続きの流れ、留意すべき事項、およびその利点と欠点を解説します。

基本情報技術者試験の制度変更について

2023年4月より、基本情報技術者試験は大きく試験制度が変わっています。

免除制度について把握する前に、まずは最新の試験制度を確認しましょう。

項目変更前変更後
試験実施時期上期・下期の2回会場の試験開催日に則り随時
採点方法素点方式IRT方式
試験名午前試験・午後試験科目A試験・科目B試験
試験時間試験時間
:午前150分/午後150分
試験時間
:科目A90分/科目B100分

科目A試験は以前は「午前試験」と呼ばれており、免除制度も「午前試験免除制度」という名称でした。

また、現在は通年で試験が開催されているので科目A試験の免除は1年間のうち何度も受けられますが、変更前の制度では年に2回しか試験が実施されなかったので、免除制度が使えるのも年に2回までとなっていました。

科目A試験免除制度の概要

基本情報技術者試験は、科目A(旧:午前試験)と科目B(旧:午後試験)の二つの部分から成り立っています。受験者が合格するためには、これら両方の試験で合格ライン(総合点の6割)以上を獲得する必要があります。ところが、あまり知られていない制度があります。それは、「科目A試験免除制度」です。

この制度を利用すれば、特定の条件を満たすことで科目A試験を省略し、科目B試験だけに合格すれば基本情報技術者試験の合格という扱いになります。

具体的には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が認定した講座を受講し、その講座を修了した上で修了試験に合格すれば科目A試験を免除してもらえます。

免除対象となる講座は、専門学校や大学の授業、通学講座、または通信講座(オンライン講座)として提供されています。

科目A試験が免除される期間は修了認定日から1年間限定となっていますが、1年のうちに何度も試験に挑戦する方は、その度に免除を受けることが可能です。

科目A試験免除の手続き方法

基本情報技術者試験の科目A試験を免除するプロセスは以下のように進行します。

まず、最初のステップとして、科目A試験免除が可能な指定講座への参加が必要となります。この講座を修了することが、次の段階へと進むための基本条件です。講座を修了しない限り、次の修了試験には進むことはできません。

次に、修了試験に合格する必要があります。この試験は年4回、6月、7月、12月、そして1月に行われます。合格すれば、その日から1年間、科目A試験を受ける必要はなくなります。

ただし、修了試験の申込は試験日の約1ヶ月前に締め切られることが多いので、申込みのタイミングを逃さないように注意が必要です。

最後に、基本情報技術者試験の申込時に、科目A試験免除の申請をする必要があります。その後は、科目B試験だけを受けることになります。この一連の流れを理解し、自分のスケジュールと合わせながら適切に進めていくことが大切です。

免除対象の講座費用

免除制度の対象になっている講座は、免除の修了試験だけでなく科目B試験の対策講座も兼ねているケースが多いです。

また、免除制度の対象になっている講座は、そうでない講座(単に科目A・科目B試験の対策ができる講座)と比べて約2万円ほど高くなっています。

修了試験の試験内容

修了試験の内容について説明します。この試験では、過去の基本情報技術者試験から出題されることが非常に多いです。問題のほとんどが過去問から出題されているケースも散見されます。そのため、過去問対策は試験準備において必要不可欠と言えます。

一般的に、基本情報技術者の科目A試験に比べて、修了試験の難易度は低く、合格者の割合も高い傾向があります。さらに、修了試験は本試験の前に最大2回まで受けることが可能であるため、初回で不合格となった場合でも、再度試験を受ける機会があります。

修了試験の過去問題や基本情報技術者試験の過去問題は、情報処理推進機構(IPA)の公式ホームページで公開されています。より具体的な試験内容を知りたい人はぜひチェックしてみてください。

科目A試験免除は1年間有効

基本情報技術者試験の科目A試験免除は、修了認定日から1年間のみ有効となります。そのため、効果的に本試験に進むためには、受講後のスケジュールを適切に調整することが重要です。

また、免除を受けるためには、基本情報技術者試験の申込時に必ず申請を行う必要があります。たとえ免除の条件を満たしていても、申請がなければ免除は受けられません。その際、申込書の一部免除申請番号欄には、修了認定者管理番号を記入しましょう。

試験制度の変更前は、基本情報技術者試験は年2回だったので、免除が使えるのも最大2回でした。しかし現在は、基本情報技術者試験が通年で行われているため、1年間で3回以上免除を受けることも可能です。

ただし、一度本試験を受験した場合、次回の申込が可能となるのは前回の受験日の翌日から30日後となるため、この点には注意が必要です。

科目A試験の免除制度はおすすめ?

科目A試験を免除することで得られる恩恵は少なくありません。まずは免除制度のメリットを見ていきましょう。

科目Aよりも修了試験の方が簡単

修了試験は科目A試験と比較して難易度が低く、多くの問題が過去問から出題されるので試験対策がしやすいです。

これに対し、科目A試験では新規の問題も出題されるため、予測外の問題に対応するための広範な知識と理解が求められます。

そのため科目A試験の合格率がおおよそ6割であるのに対し、修了試験は80%以上ということも珍しくありません。

そのため科目A試験の対策よりも楽に修了試験を突破することができる場合が多いのです。

科目B試験だけに集中できる

基本情報技術者試験の科目A試験を免除にすることで、科目B試験に集中できるのは大きなメリットとなります。科目B試験は科目A試験よりも難易度が高く、長文問題も出題されるため、対策にはより多くの時間と労力を要します。

また科目B試験の問題は具体的な事例に基づくものが多く、広範な知識と理解力、さらには応用力が要求されます。これに対して、科目A試験は一般的な情報技術の知識を問うもので、対策としては基本的な情報技術の理解と記憶力が主となります。このような差異からも、科目B試験は科目A試験よりも準備が大変なのです。

そのため科目A試験の免除により、科目B試験への学習時間をより多く確保できる点はとても魅力的と言えるでしょう。

また基本情報技術者試験は1日で科目A試験と科目B試験がどっちも行われます。そのため試験時間が長く、その間に高い集中力を維持する必要があり、かなりタフな1日となります。これに対し科目A試験を免除していると、このようなストレスを避け、科目B試験に全力を注ぐことができます。

科目A試験免除を利用する際の懸念事項

試験免除は魅力的な制度ですが、一方で必ずしも免除制度をするのが良いというわけではありません。

ここでは免除制度を利用を検討する上で注意すべき点をお伝えします。

スケジュールの調整が必要

科目A試験を免除する際には、スケジューリングが一つの大きな懸念事項となります。修了試験は年間に4回、具体的には6月、7月、12月、1月に開催されます。しかし、これは全年間にわたって定期的に開催されているわけではなく、したがって近日中の本試験を受けたい場合、スケジュールが合わない可能性があります。

さらに修了試験の申し込み締め切りは試験日の約1ヵ月前となっています。

したがって、科目A試験の免除を利用する場合、ただ本試験の申し込み期限を考えるだけではなく、修了試験の申し込み期限も考慮に入れ、それに基づいて適切にスケジュールを組む必要があります。

合格までに必要な勉強時間が増える

基本情報技術者試験の勉強に必要な時間は、一般的に科目Aと科目Bを合わせて約150時間ほどです。これは1日あたり2時間の勉強時間を確保できる場合、約3ヶ月間ほどかかる計算になります。

これに対し科目A試験の免除制度を利用する場合、大抵は3ヶ月以上の時間が必要となります。これは、修了試験を終えてから本試験を受けるまでに、申し込みの手続き等の関係で数ヶ月要する場合が多いからです

さらに、そもそも修了試験に挑むためには70時間※の学習時間登録が必要となります※受講する講座により若干の差があります。

しかし、基本情報技術者試験は科目Bの方が科目Aよりもずっと難しいので、「そもそも科目Aの対策に70時間も(目安の勉強時間の半分も)必要ない」という方は多いでしょう。

そのため多くの場合、科目A試験の免除制度を使おうとすると、トータルの学習時間が増えてしまうのです。

講座費用が高い

科目A試験の免除制度を提供している講座の多くは、免除の修了試験だけでなく、科目B試験に対する準備講座も含むケースが一般的です。

しかし、このような講座は、科目Aと科目Bの試験対策のみを目的とした講座と比較すると、料金が約2万円高く設定されていることが多いです。

そのため、できるだけ費用を抑えて試験に合格したいと考えている人にとっては、科目Aの免除制度を含む講座は必ずしも最適とは言えないかもしれません。この点は、各自の学習計画や予算に合わせて検討する必要があります。

科目A試験免除制度の利用はどんな人に向いているのか

どんな人が科目A試験免除に向いているのかまとめました。

自分に当てはまるか、確認してみるのもよいでしょう。

現役エンジニアなど初学者ではない場合は不向き

IT基礎知識が既にある現役エンジニアや、IT業界で実務経験を積んでいる人にとっては、科目A試験の合格ラインである60%以上の正答率を達成するのはそこまで難しくありません。そのため、これらの人々にとって科目A試験の免除制度を利用することは、必ずしもおすすめではありません。

このような方々は免除制度を利用することで逆に全体の学習期間が延長する可能性があります。さらに、免除対象となる講座の費用も考慮すると、コスト面でも不利となる可能性があります。

そのため、ITの基本的な知識や経験が既にある人々は、直接科目A試験に挑戦する方が時間的・経済的に効率的である場合がほとんどでしょう。

一発合格を目指す人にはおすすめ

科目A試験の免除制度は、「今年中に確実に合格したい」という目標を持つ人々にとって非常に有用な方法であると言えます。これは就職や転職活動を控えている場合など、短期間での合格が求められる状況に特に当てはまります。

この制度を利用することで、科目A試験の準備という段階を半自動的にこなすことができ、より難易度の高い科目B試験への対策に専念することが可能となります。これにより、試験範囲が狭まり、試験前の復習もより効率的に行うことができます。

さらに、この方法は本番に弱い人にも推奨されます。本番当日は科目B試験だけに集中することができますし、試験時間も他の受験生の半分になるので、結果的に試験のパフォーマンスも向上する可能性があります。

基本情報技術者の科目A試験免除まとめ

基本情報技術者試験の科目A試験免除制度は、認定講座を修了し修了試験に合格することで利用可能です。試験申し込み時に申請が必要となります。

この制度は、確実に合格を目指す人に特におすすめで、科目Aをクリアした状態で科目B試験の対策に専念でき、また試験当日の負担も軽減できます。

特に、短期間での合格を目指す人や、試験の緊張を避けたい人は、この制度を有効活用してみる価値があります。

一方、講座費用が追加で発生するほか、むしろ制度を利用することで試験対策の期間が延びるケースもあるため、利用するかどうかは慎重に判断するのが良いでしょう。

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