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FP2級の実技試験は5種類!科目の選び方と試験対策について紹介

FP2級の実技試験は、一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)で4種類、NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)で1種類の計5種類が用意されています。FP2級の資格取得を目指す方にとって、どの実技試験を選択するかは大きな悩みの種。この記事では、FP2級の実技試験の特徴や選び方のポイントを詳しく解説します。また、効果的な試験対策についても紹介するので、FP2級合格を目指す方は必見です。

FP2級の実技試験とは

 FP2級は、ファイナンシャルプランナーとしての実務能力を問う国家資格です。FP2級の試験は、学科試験と実技試験の2つに分かれており、それぞれ合格する必要があります。学科試験は、ファイナンシャルプランニングに関する知識を幅広く問う多肢選択式の試験です。

一方、実技試験は、学科試験で得た知識を実務で活用できるかを問う論述式の試験となっています。

FP2級の実技試験は、日本FP協会ときんざいの2つの団体が実施しており、受験者は5種類の科目から1つを選択して受験します。日本FP協会が実施するのは「資産設計提案業務」の1科目のみですが、きんざいは「個人資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」の4科目を実施しています。どちらの団体の試験に合格しても、2級FP技能士の国家資格を取得することができます。

それでは次に、FP2級の実技試験の5つの科目について、詳しく見ていきましょう。

FP2級の実技試験の種類一覧

以下の表は、それぞれの実技試験の概要をまとめたものです。

実技試験の種類運営団体問題数合格点合格率(過去3年)
資産設計提案業務日本FP協会40問(10題)60点以上/100点56.33〜62.11%
個人資産相談業務一般社団法人 金融財政事情研究会 (きんざい)15問(5題)30点以上/50点31.44〜41.54%
中小事業主資産相談業務15問(5題)30点以上/50点35.92〜62.98%
生保顧客資産相談業務15問(5題)30点以上/50点32.54〜50.94%
損保顧客資産相談業務15問(5題)30点以上/50点60.07〜72.92%

それぞれの実技試験は、出題範囲や問題形式、合格率などに特徴があります。自身のキャリアプランや得意分野に合わせて、最適な科目を選択することが重要。ここからは、5つの実技試験科目について、それぞれの特徴や受験者に向いている人物像を詳しく解説していきます。自分にピッタリの科目選びの参考にしてください。

資産設計提案業務(日本FP協会)

資産設計提案業務は、日本FP協会が実施するFP2級の実技試験科目です。ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継など、ファイナンシャルプランニングに関する幅広い知識が出題範囲となります。顧客のライフステージやニーズに合わせて、包括的な資産設計を提案する能力が問われます。

この科目は、FPとしてのキャリアの方向性が定まっていない方や、個人向けのFP業務を幅広く手がけたい方に特におすすめです。ファイナンシャルプランニングの各分野にバランス良く精通することで、顧客の多様なニーズに柔軟に対応できる総合力が身につきます。きんざいの個人資産相談業務と並んで受験者数が最も多く、FP2級のスタンダードな科目と言えるでしょう。

ただし、出題範囲が広い分、試験対策には一定の時間と労力が必要です。過去3年の合格率は57%~62%程度で推移しており、体系的な学習と十分な問題演習が合格のカギとなります。資産設計提案業務を目指す方は、効率的な学習計画を立てて、着実に知識とスキルを積み上げていきましょう。

個人資産相談業務(きんざい)

個人資産相談業務は、きんざいが実施する実技試験の中で最も受験者数が多い科目です。金融資産運用、不動産、ライフプランニングと資金計画、タックスプランニング、相続・事業承継など、個人の顧客を対象とした幅広い資産相談業務に関する知識が出題されます。ファイナンシャルプランナーとして、顧客のニーズや問題点を適切に把握し、実践的な解決策を提案する力が求められます。

個人資産相談業務は、FPとしての専門分野をまだ絞り切れていない方や、個人向けのFP業務を中心に手がけたい方に向いている科目だと言えます。資産設計提案業務と同様に、ファイナンシャルプランニングの主要分野を網羅的に学習できるのが大きな特徴です。ただし、顧客との相談場面を想定した実践的な出題が多いため、知識の定着と応用力の養成がポイントになります。

過去3年間の合格率は31%~41%台とかなり低めに推移しており、試験難易度は決して低くありません。的確な問題把握と論理的な思考力、正確な文章表現力などが要求されるため、学習段階から論述式問題の演習を積み重ねることが重要です。地道な努力を積み上げて、堅実に合格を目指していきましょう。

中小事業主資産相談業務(きんざい)

中小事業主資産相談業務は、中小企業の経営者を顧客とするFP業務に必要な知識とスキルを問う科目です。事業用資産の運用、事業承継対策、キャッシュフロー改善、相続・贈与への対応など、中小企業特有の資産管理や財務課題に関する専門性の高い出題が特徴と言えます。タックスプランニングや不動産、ライフプランニングなど、幅広い分野の知識が要求される点も見逃せません。

この科目は、中小企業の経営支援業務に携わっている方や、独立系FPとしてのキャリアを目指す方に特におすすめです。中小企業の資産コンサルティングに特化したスキルは、FPとしての差別化にもつながるでしょう。また、FP1級の中小事業主資産設計業務にも通じる内容のため、将来的にキャリアアップを見据えている方にも有効な科目選択肢と言えます。

ただ、一般的な受験者にとっては馴染みの薄い分野も多いため、独学での試験対策は難易度が高いのが悩みどころです。過去問の傾向分析を入念に行い、事業会計や税務、法人向け金融商品など、中小企業の財務に関する基礎知識をしっかりと固めることが合格への近道になります。最近3年間の合格率は35%~62%台とかなりのばらつきがあるので、万全の対策で臨みましょう。

生保顧客資産相談業務(きんざい)

生保顧客資産相談業務は、生命保険の販売や活用提案に必要な知識が集中的に出題される科目です。生命保険の基本的な仕組みや特徴、各種商品の比較、法律・税務の知識、顧客ニーズに合わせた保険設計など、生命保険のプロフェッショナルとして習得すべき実務スキルが問われます。リスク管理、ライフプランニング、相続対策など、関連分野の知識も幅広くカバーする必要があります。

この科目は、生命保険会社の営業職や代理店など、生命保険の販売に直接携わる方に最適な選択肢と言えるでしょう。お客様の人生設計に寄り添いながら、きめ細かなコンサルティングを行うスキルを証明できます。ファイナンシャルプランナーの肩書を活かして、信頼と実績を積み重ねるステップにもなり得ます。保険営業のプロとしてのレベルアップを目指す方は、ぜひチャレンジしてみてください。

ただし、生命保険分野は制度改正も頻繁で、日進月歩の商品知識が求められるのが難関ポイントです。過去3年の合格率は30%~50%台ですが、それは受験者の大半が現役の保険営業職である影響が大きいと推察されます。ゼロベースからの受験では、相応の覚悟と学習時間を要することを意識しておきましょう。

損保顧客資産相談業務(きんざい)

損保顧客資産相談業務は、損害保険分野に関する高度な実務知識を問う科目です。自動車保険、火災保険、傷害保険など、損保商品の基本構造や補償内容、約款の読み方、事故対応の実務など、損害保険の提案営業に必要不可欠なスキルが出題範囲となります。タックスプランニング、リスクマネジメント、社会保険制度など、関連する周辺知識も要求されるため、幅広い学習が必要不可欠です。

この科目は、損害保険会社の営業職をはじめ、代理店の経営者や募集人など、損保商品の販売に直接携わる方を主なターゲットとしています。多様化する損保ニーズに的確に応え、お客様に最適な保険設計を提案できる専門性の高いFPとしての力が証明できます。ベテランの営業職が、改めて知識を体系化するステップとしても有効でしょう。

ただし受験者数は、FP2級受験者全体の1%にも満たないほど少数派の科目であり、毎年9月の年1回しか実施されないのが悩ましい限界です。過去3年間の合格率は60%~72%台と群を抜いて高水準ですが、現役の損保営業職が大半を占める特殊事情が背景にあると見られます。独学での挑戦は難易度がかなり高いので、関連書籍や通信講座などを活用して、体系的かつ着実な学習を重ねる必要があります。

FP2級の実技試験はどれを選ぶべき? 

 FP2級の実技試験は、ファイナンシャルプランナーとしてのキャリアビジョンに合わせて、最適な科目を選択することが何より重要です。目先の合格率に惑わされることなく、自身の強みや目標に直結する分野を見極めることが肝心でしょう。FPとしての方向性が定まっていない方や、体系的・網羅的な知識の習得を目指す方は、まずは資産設計提案業務か個人資産相談業務に挑戦してみるのがおすすめです。幅広い分野の基礎固めには最適の選択肢と言えるでしょう。

一方、すでに金融機関や保険会社などに勤務し、実務経験をお持ちの方は、その知見を最大限に活かせる科目を選ぶのが得策です。日々の業務と試験勉強が直結することで、効率的なスキルアップが期待できます。将来のキャリアプランを見据えつつ、自身の専門性をアピールできる科目にチャレンジしてみてください。

中小企業の経営支援や事業承継コンサルティングに興味がある方は、中小事業主資産相談業務がおすすめです。起業を志す方や独立系FPを目指す方にも、ハイレベルな実務スキルを証明できる有効な科目選択肢と言えるでしょう。

保険業界で活躍されている方や、保険の専門的知識を武器にFPとしてのキャリアを築きたい方は、生保顧客資産相談業務か損保顧客資産相談業務に挑戦してみる価値があります。最先端の商品知識と高度なコンサルティング技術を身につけることで、他のFPとの差別化を図ることができるはずです。

いずれにしても、FP2級の実技試験科目選択は、自身のバックグラウンドとキャリアビジョンに合わせて慎重に見極める必要があります。眼前の難易度のみにとらわれず、将来のFPとして必要となる専門知識やスキルを見据えた戦略的な判断を心がけましょう。長期的な視点に立った科目選びこそが、真のFPとしての成長につながるものと確信します。

FP2級実技試験の対策方法

 FP2級の実技試験で合格を勝ち取るには、戦略的な対策が不可欠です。学科試験と異なり、知識の暗記だけでは太刀打ちできない論述式の出題が中心となるため、応用力と表現力が大きく問われます。ここでは、効果的な実技試験対策の要諦を2つの観点から解説します。

必ず過去問で練習しておく

FP2級の実技試験では、過去問を徹底的に演習することが合格への最短ルートだと言っても過言ではありません。頻出のテーマや問われ方のパターンを体得することで、本番での的確な解答に直結するからです。

現行のカリキュラムに沿った直近3年分程度の過去問を中心に演習するのがベストです。制度改正により問題文や解答に齟齬が生じている古い年度の過去問は避けるべきでしょう。また自身が選択する科目の過去問であることを必ず確認し、本番と同じ出題傾向に慣れておくことが肝要です。

過去問をこなすにあたっては、単に解答を丸暗記するのではなく、問題の趣旨を正確に把握し、解答の理由を理解できるまで反復することを意識しましょう。

電卓の使い方に慣れておく

実技試験では、計算問題が多数出題されるのも大きな特徴です。複雑な数値計算を正確かつ迅速にこなす電卓テクニックの習得は、合格への必須条件と言えるでしょう。とくに、タイムリミットが設けられた試験本番では、焦りから生じるケアレスミスが命取りになりかねません。日頃から使い慣れた電卓を使用し、計算のスピードと正確性を高める特訓を欠かさないことが重要です。とりわけ、キー配列や機能に不慣れな電卓を試験直前に使い始めるのは厳禁です。

おすすめの電卓としては、12桁以上の表示が可能で、税計算などの便利な機能を備えた、シャープやカシオの本格実務電卓が挙げられます。ただし、何よりも自身の手に最もなじむ使い勝手のよさを最優先すべきでしょう。電卓は、FP2級の実技試験における必携のパートナーです。日頃から電卓との一体感を磨き、本番での機敏な計算力を手に入れましょう。

実技試験対策の要は、あくまで実践的な学習の積み重ねにあります。FP2級の実技試験は、ただ単に解答を丸暗記すれば良いようなものではなく、実際の相談業務を想定した内容が問われます。効果的な過去問演習と電卓操作の習熟を両輪に、専門性と実践力をしっかりと身につけていってください。

まとめ

FP2級の実技試験は、日本FP協会の「資産設計提案業務」ときんざいの4科目から選択します。それぞれ出題範囲や専門性に特徴があるため、自身のキャリアビジョンに合わせた科目選択が重要です。 試験対策では、過去問演習を通じて実戦的な論述力を養うとともに、電卓操作に習熟することが合格への道となります。ファイナンシャルプランナーとしての専門性と実践力を磨き、戦略的な試験対策で確実に合格を勝ち取りましょう。


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