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基本情報技術者試験のアルゴリズムは難しい?解き方のコツや対策法も解説

アルゴリズムとは、問題解決のための具体的な方法や手順を表す概念で、プログラミングの根底に位置します。数学的計算手順に基づいて問題を解く手段を表し、その手順をプログラミング言語で表現したものが、私たちが一般にコンピュータープログラムと呼ぶものです。

基本情報技術者試験で登場するアルゴリズムの問題は、慣れていないと難しく感じるかもしれません。

今回は基本情報技術者試験で問われるアルゴリズムに関して詳しく解説し、効果的な学習法や問題解決のコツを紹介します。これを読むことで、アルゴリズムの問題へのアプローチがより理解できるはずです。

基本情報技術者試験の内容をおさらい

基本情報技術者試験は、情報処理技術者試験のうち、中級のレベル2に位置します。この試験はレベル1のITパスポート試験と、より難易度の高いレベル3の応用情報技術者試験の間に位置し、IT初心者や新人エンジニアにとっては少しハードルが高い一方、最も難しいレベルではありません。

試験は科目A(午前試験)と科目B(午後試験)の二部構成です。科目Bでは択一式で20問が出題され、制限時間は100分間と設定されています。

基本情報技術者試験は、受験者のIT知識とスキルを確認するだけでなく、問題解決能力や応用力を評価する意図があります。基本情報技術者の資格を持つことで、ITの基礎的な知識を理解し、実際の業務に活用できる能力を証明することができます。これにより、採用面接時に優位に立つことが可能となります。

科目B試験の試験範囲

アルゴリズムに関わる問題は主に科目B試験で登場します。

科目B試験の試験範囲は以下の通りです。

データ構造及びアルゴリズム(擬似言語による出題)

出題範囲(大項目)出題範囲(小項目)
プログラミング全般に関すること実装するプログラムの要求仕様(入出力,処理,データ構造,アルゴリズムほか)の把握
使用するプログラム言語の仕様に基づくプログラムの実装
既存のプログラムの解読及び変更
処理の流れや変数の変化の想定
プログラムのテスト
処理の誤りの特定(デバッグ)及び修正方法の検討 など
プログラム処理の基本要素に関すること型,変数,配列,代入,算術演算,比較演算,論理演算,選択処理,繰返し処理,手続・関数の呼出し など
データ構造及びアルゴリズムに関すること再帰,スタック,キュー,木構造,グラフ,連結リスト,整列,文字列処理 など
プログラミングの諸分野への適用に関すること数理・データサイエンス・AI などの分野を題材としたプログラム など

情報セキュリティ

出題範囲(大項目)出題範囲(小項目)
情報セキュリティの確保に関すること情報セキュリティ要求事項の提示(物理的及び環境的セ キュリティ
技術的及び運用のセキュリティ)
マルウェアからの保護
バックアップ
ロ グ取得及び監視
情報の転送における情報セキュリティの維持
脆弱性管理
利用者アクセスの管理
運用状況の点検 など

基本情報技術者試験のアルゴリズムで問われる内容

データ構造及びアルゴリズムで出題される範囲は上述の通りですが、具体的にどういった問題が出題されるのでしょうか。

ここでは実際に出される内容についてもう少し詳しく見ていきましょう。

プログラムの実装

基本情報技術者試験のプログラム作成の問題は、与えられたプログラムの一部を完成させる形式で出題されるケースがよく見られます。

これらの問題は主に、プログラミング処理の内容や条件式を適用する形で出されます。その中でも、アルゴリズム科目に関する問題は比較的簡単なため、この部分で高得点を狙う戦略が有効とされています。

また、試験では初めに作成したプログラムを基礎として進行する形式をとる場合があることに注意が必要です。この場合は初期の設問でミスを犯すと、その誤りが後続の処理結果に影響を及ぼし、なし崩し的に点数を失うことにつながります。そのため、設問の序盤には特に慎重に取り組むことが求められます。

このような形式の試験は、単にプログラミングの知識を試すだけでなく、複雑な問題を段階的に解決する能力や、初めの段階でのミスが全体の結果にどのように影響するかを理解する能力をも試すことになります。

問題例

次のプログラム中の と に入れる正しい答えの組合せを,解答群の中から選べ。

手続 append は,引数で与えられた文字を単方向リストに追加する手続である。単方向リストの各要素は,クラス ListElement を用いて表現する。クラスListElement の説明を図に示す。ListElement 型の変数はクラス ListElement のインスタンスの参照を格納するものとする。大域変数 listHead は,単方向リストの先頭の要素の参照を格納する。リストが空のときは,listHead は未定義である。

メンバ変数説明
val文字型リストに格納する文字。
nextListElementリストの次の文字を保持するインスタンスの参照。初期状態は未定義である。
コンストラクタ説明
ListElement(文字型: qVal)引数 qVal でメンバ変数 val を初期化する。

〔プログラム〕
大域: ListElement: listHead ← 未定義の値

○append(文字型: qVal)

ListElement: prev, curr

curr ← ListElement(qVal)

if (listHead が a)

listHead ← curr

else

prev ← listHead

while (prev.next が 未定義でない)

prev ← prev.next

endwhile

prev.next ←b

endif

::科目Bサンプル問題::

データ分析

基本情報技術者試験におけるデータ分析の問題は、企業が所有するデータの可視化、整理、またはそのデータからの洞察の抽出などに関する知識と理解を試すものです。現代のビジネス環境では、AIとその関連技術が進化し、データ活用がますます重要になっています。そのため、データ分析に関する理解は、基本情報技術者のスキルとして必須と言えるでしょう。

試験では、企業が収集する多様なデータについての理解も問われます。販売実績、商品在庫、サプライチェーンに関連する材料や部品、製品、人事関連情報などです。

また、試験は収集したデータの有効活用に焦点を当てます。すなわち、収集したデータをどのように整理し、分析し、そしてその分析結果からどのような知見を引き出すかというプロセスについての理解と能力を試します。これは、データドリブンな意思決定を推進し、ビジネスの効率と成果を向上させるための基本的なスキルとなります。

科目B試験のアルゴリズムで求められる力

基本情報技術者試験の「アルゴリズム」に関する問題は、単にプログラミングの知識を試すだけでなく、より広範で深いスキルセットを試すものです。

まず、プログラムの構築と展開の過程で、各手順や式が次の段階と正しく接続されるかを確認する必要があります。これには注意深さと論理力が必要となるため、多くの人がこの分野を苦手と感じます。

また、問題文が長く複雑な場合が多いため、前提としてある程度の読解力も必須です。問題の意図を正しく理解しなければ、適切な解答に至ることは難しいでしょう。

さらに難しいアルゴリズムにつまずいてしまった時でも、めげずに解答を導き出す粘り強さも重要な要素となります。

これらの観点から、基本情報技術者試験の「アルゴリズム」に関する問題は、知識だけでなく、論理的思考、持続力、粘り強さといった、プログラミング以外の幅広い領域でも必要とされる能力を試していると言えるでしょう。

基本情報技術者試験のアルゴリズムの対策方法

こちらのトピックで、アルゴリズムの対策方法についてご紹介します。

疑似言語に慣れる

基本情報技術者試験では、実在しない疑似言語でのアルゴリズム表記が用いられることがあります。これらは試験問題の中に読み方が書かれていますが、試験時間中にこれを0から理解しようとすると、勘違いによる失点や時間切れの恐れがあります。そのため、事前に疑似言語の読み方を知っておくことが重要です。

また、単に擬人言語を覚えるだけでなく、過去問演習等を通じて試験特有の表現やパターンに慣れておくようにしましょう。実際に過去問を解くことで試験の形式や問題の傾向に慣れ、自身の理解を深めることができます。

アルゴリズムの型に慣れる

基本情報技術者試験のアルゴリズム問題に対する効果的な対策は、まず基本的なアルゴリズムとデータ構造の知識を理解し、暗記することから始まります。これらの基礎知識は、プログラムの作成や理解に必要不可欠で、試験で求められる技術的な要求を満たすための土台となります。

参考書や基礎テキストを使用して、アルゴリズムやデータ構造の要素を覚えていくことが重要です。このインプット段階で理解できなかったポイントも、問題演習等のアウトプットを通じてだんだん意味がわかってくるようになるはずです。

実際の試験では、既に学んだ知識を基にプログラムの試行錯誤を繰り返し行うため、プログラミングに一定の慣れと習熟度が求められます。

総じて、基本情報技術者試験のアルゴリズムの問題対策は、基本知識のインプットと反復的なアウトプットのサイクルを通じて、とにかくアルゴリズムの問題に慣れてしまうことを心がけましょう。

過去問を解く

基本情報技術者試験のプログラミング問題対策には、過去問題を用いた実践的な練習が極めて効果的です。プログラミングの専門用語を理解すると同時に、プログラムの動作に慣れるためには、具体的な問題に取り組むことが不可欠となります。

過去問を反復することでプログラミング知識の応用力や試験時の対応力を身につけられます。試験の出題傾向や頻繁に出現する記号の使用法など、試験特有の流れを理解する助けとなるはずです。

また、試験の実践感覚を養うためには、一定の制限時間内で問題を解く練習を行うことが重要です。本番の試験では、多くの情報を精査し、それに基づいて回答する必要があるため、制限時間内で解答を完成させる能力が求められます。そのため普段から一問あたりの解答時間を設け、時間内に解答する練習を積むことをおすすめします。

この時間制限を加えた反復練習を通じて解答スピードに慣れ、次第に問題を迅速にかつ正確に読み解く力が身につきます。これは試験本番で緊張やプレッシャーの中ででも確実に問題を解く力を身につけるために欠かせない対策法と言えるでしょう。

アルゴリズムの習得は試験以外の場でも役立つ

アルゴリズムの理解と活用は、基本情報技術者試験を通じて学べる重要なスキルであり、日々の仕事や生活においても様々なメリットがあります。

そもそもアルゴリズムとは、問題解決に向けて設計された一連の手順や計算方法のことを指します。そしてこの概念は、プログラミングにおいても、そして日常生活のさまざまな場面においても適用されます。

プログラミングにおけるアルゴリズムの活用は、効率的なコードを書くための重要な手法です。複雑で時間がかかる処理でも、効率的なアルゴリズムを用いることで、より早く、短いコードで問題を解決することが可能になります。これにより、処理時間が短縮され、作業効率が大幅に向上します。

アルゴリズムの知識は、仕事のスピードや処理能力を大きく向上させるための重要なツールです。プログラミングだけでなく、ビジネスの意思決定、プロジェクトマネジメント、日々のタスクの組織化など、様々な状況での問題解決能力を高めてくれます。

さらに、アルゴリズムの理解は、問題解決スキルや論理的思考力を鍛えるための効果的なトレーニングにもなります。アルゴリズムを学ぶことで、問題をシステマティックに解析し、最適な解決策を導き出す能力が育つのです。

したがって、基本情報技術者試験を通じてアルゴリズムを学ぶことは、プログラミングスキルだけでなく、幅広い問題解決能力や論理的思考力を身につけることにもつながるのです。

基本情報技術者のアルゴリズムまとめ

アルゴリズムの問題は問題文が長いことも多々あるので、正確な読解力や論理力が必要:アルゴリズムの問題は一見複雑に見えますが、問題文を精読し、必要な情報を取り出すことから始めましょう。これはただ単に解答能力を試すだけでなく、現実のIT業界で求められるスキルでもあります。

また、過去の試験問題は理解と対策の両面で非常に重要なツールです。過去問を解くことで、頻出の問題形式やよく出るテーマ、考え方を習得することができます。また、繰り返し過去問を解くことで、自身の弱点を把握し、それを補強することも可能です。

基本情報技術者は、IT業界でのキャリア形成において強力な武器になります。IT業界への進出を考えている方やプログラミングに興味がある方は、ぜひアルゴリズムの試験問題を乗り切って、基本情報技術者の資格を手に入れましょう!

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