公式LINE友達追加

宅建試験対策:不動産広告のルールを徹底理解!~消費者を守る広告規制の要点と違反事例~

不動産取引において、購入希望者が最初に接する情報源の一つが「広告」です。宅地建物取引士(宅建士)を目指す皆さんにとって、この広告に関する規制は、宅建業法と景品表示法(景表法)の両面から出題される重要項目であり、実務でも欠かせない知識となります。

宅建業法における広告規制の基本

宅建業法は、消費者が誤解なく不動産取引を判断できるよう、広告に様々な規制を設けています。その主な目的は、消費者の利益保護にあります。

取引態様の明示義務

不動産広告や、顧客から注文を受ける際には、宅建業者が「自ら売主・貸主」「代理」「媒介」のいずれの立場で取引を行うかを明確に表示する義務があります。これは、複数の宅地を分割して分譲する場合など、取引のたびにその都度明示が必要です。

広告開始時期の制限

宅地や建物の取引に関する広告は、無秩序な取引を防ぐため、開始時期に制限が設けられています。

原則:宅地造成工事や建物建築に関する工事が完了する前は、開発許可や建築確認が下りた後でなければ広告を開始できません。申請中の広告や、将来売り出すことを予告する広告も禁止されています。

例外: 建築確認後、変更の確認の申請を提出している期間は広告が可能です。

対象: この広告開始時期の制限は、売買・交換契約に適用され、貸借契約は含まれません。

誇大広告の禁止

宅建業者は、物件の所在、規模、形質(構造や設備など)、利用の制限、環境、交通・利便性、対価や支払条件など、現在または将来の状況について、事実に著しく相違する表示や、実際よりも著しく優良・有利であると誤認させるような表示をしてはなりません。

たとえ顧客がその広告を見て契約に至らなくても、誇大広告を行った時点で宅建業法違反となります。インターネット上の広告にも、この誇大広告の規制は適用されます。

典型的な違反事例と景品表示法(景表法)の関連

宅地建物取引業者が広告等で特定用語を使用する際の基準は、景品表示法における不当な表示の防止の一環として定められています。事業者は、合理的な根拠を示す資料を現に有している場合を除き、物件の形質、内容、価格、取引条件等において、以下の用語を使用することは禁じられています

特定用語の具体例

使用禁止の言葉具体例
最上級を意味する用語「最高」「最高級」「極」「特級」など
著しく安い印象を与える用語「買得」「格安」「破格」「特安」「激安」など
全く欠けることがないことを意味する用語「完全」「絶対」「万全」など
競争業者よりも優位であることを意味する用語「日本一」「業界一」「抜群」など
一定の基準により選別されたことを意味する用語「特選」「厳選」など
著しく人気が高く売れ行きが良いという印象を与える用語「完売」など

物件の名称の使用基準

▪「新築」と表示できるのは、建築工事完了後1年未満で、まだ居住の用に供されたことがないものに限られます。

▪「新発売」は、新たに造成された宅地や新築住宅などを初めて購入勧誘する際に使用できます。

物件の内容・取引条件等に係る表示基準

具体的な数値や条件に基づいた表示が求められます。以下表示基準をいくつか記載します。

徒歩所要時間

道路距離80mにつき1分間として算出し、1分未満の端数は「1分」として表示します。

自動車・自転車所要時間

路距離を明示し、走行に通常要する時間を表示します。有料道路の通行を含む場合はその旨を明示します(周知の高速自動車国道は省略可)。

生活関連施設

現に利用できる施設のみを表示し、物件からの道路距離または徒歩所要時間を明示します。工事中の施設は整備予定時期を明示する必要があります。

価格

分譲宅地を除き、取引するすべての区画の価格を表示します。

写真・絵図

原則として取引する物件そのものの写真や動画を使用しますが、建築工事完了前などの場合は、同等と認められる過去の施工写真・動画を明示して使用できます。

賃料・管理費・修繕積立金

原則としてすべての住戸の1ヶ月あたりの金額を表示しますが、困難な場合は最低額と最高額のみ表示できます。

周辺施設

公園や海、河川などの名称は直線距離300m以内、街道や道路の名称は直線距離50m以内に所在する場合に限り使用できます。

新設予定の駅・バス停

運行主体が公表し、新設予定時期を明示する場合に限り表示できます。

不当な二重価格表示

過去の販売価格との比較表示を行う場合、公表日や値下げ日、値下げ前の販売実績期間(2ヶ月以上)、表示期間(値下げから6ヶ月以内)など、複数の厳格な条件を全て満たさなければなりません。

おとり広告

「物件は存在するが、実際には取引対象となり得ない」「物件は存在するが、実際には取引する意思がない」など、実際には取引できない物件や取引させる意思のない物件の広告は禁止されています。

広告規制違反の監督処分と罰則

これらの広告規制に違反した場合、宅建業者には厳しい処分が課せられます。

監督処分

指示処分や、一定期間の業務停止処分を受ける可能性があります。

罰則

6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科が科されることがあります。法人の代表者や従業員が違反行為を行った場合、法人にも罰金刑が科される「両罰規定」が適用される場合があります。

受験対策のポイント

宅建の広告規制に関する問題は、単に用語を覚えるだけでなく、具体的な事例に応用できるかが問われます。

宅建業法と景表法の両面からの理解: 広告の問題は両方の法律から出題される可能性があるため、それぞれの規制内容と適用範囲を区別して理解することが重要です。

数字や期間の正確な暗記: 「80mにつき1分」「30%以上」「6ヶ月以内」など、具体的な数値や期間の条件は頻出です。これらを正確に覚えることが得点に繋がります。

過去問演習と実例分析: 過去問を繰り返し解き、どのような表現が違反となるのか、実際の広告事例を想像しながら学ぶと、理解が深まります。

まとめ

不動産広告の規制は、健全な不動産取引と消費者の保護のために不可欠なルールです。

宅建士としてこれらの規制を深く理解し遵守する能力は、試験合格だけでなく、実務においても高い専門性と倫理観を示す基盤となります。点数をとりやすい広告規制についての理解を含め、宅建試験合格と将来の活躍につなげましょう。


関連記事