宅建資格が活かせる仕事とは?不動産以外の業界で宅建資格を活かすポイントを紹介
宅建士の資格は不動産業界でしか役立たないというイメージを持たれる方が多いかもしれません。しかし、実際には不動産以外の業界でも、宅建士の資格を…
宅建の試験に合格しただけでは、宅建士としての仕事をすることはできません。宅建士として活躍するには登録手続きを行い、宅地建物取引士証の交付を受ける必要があります。しかし、不動産業界などで宅建士として働く予定がない場合にも、登録は必要なのでしょうか。
宅建合格後の流れが知りたい方に向けて、宅建士の登録手続きや、登録することでできる業務などについて解説していきます。
目次
宅建試験(宅地建物取引士資格試験)に合格すると、合格証書と「宅地建物取引士資格登録等の手続について」という書類が送付されます。
宅建士の登録は任意ですが、宅建士として働きたい場合は登録が必要です。就職活動中の場合も、登録が済んでいる方が即戦力として有利に働く可能性があります。登録には通常1~2ヶ月程度の時間がかかるため、業務などで必要な場合には早めに手続きを行うようにします。
一方で宅建の登録には費用がかかります。また、そもそも登録には、宅地建物取引業の実務経験が2年以上必要です。実務経験の要件を満たさない場合は、登録実務講習を受講しなければなりません。そのため、宅建に合格してもすぐには登録しない人もいます。
履歴書の資格欄に「宅地建物取引士」と記載するとアピールポイントになりますが、登録手続きを行い、宅地建物取扱士証の交付を受けなければ、宅建士と名乗ることはできないという点に注意が必要です。登録手続きを行わない場合も、履歴書に「宅地建物取引士試験 合格」と記載することはできます。
合格後すぐに登録を行わなくても、宅建合格は生涯にわたって有効なため、数年経過した後などに登録することも可能です。合格証書は登録に必要となるため、必ず保管しておきます。万が一、合格証書を紛失した場合には、再発行の手続きを行いましょう。
宅建士にしかできない業務を行えるようになるのは、宅建士の登録を済ませ、宅地建物取引士証の交付を受けた後です。宅建士にしかできない業務とは次の3つです。
不動産業界で活躍したい場合は、これらの業務は必須といえるため、宅建合格後に速やかに登録手続きを行っておきましょう。
宅地建物取引業法では、土地や建物の売買契約や賃貸契約を締結する前に、取引の当事者に対して、重要事項説明書(35条書面)を交付して、重要事項説明を行うことが義務付けられています。重要事項説明では、契約の対象となる物件の権利関係や法令上の制限、物理的な状態のほか、契約条件などの説明を行います。
重要事項説明は宅地建物取引士証を提示して行うことも義務付けられており、宅建士にしかできない業務です。重要事項説明は不動産取引によるトラブルを防止することが目的とされています。
宅建業法では、重要事項説明で取引の当事者に交付する重要事項説明書(35条書面)に宅建士が記名することも義務付けられいます。記名により記載内容に責任を持つとともに、宅建士が重要事項説明を行ったという証明にもなります。
宅建業法では、土地や建物の売買契約や賃貸契約を締結した際に、取引の当事者へ契約書(37条書面)の交付が義務付けられ、宅建士の記名が必要です。宅建士が内容を確認して記名した契約書を交付することで、トラブルを防止します。
宅建合格後に登録手続きを行う場合には以下の流れで進めていきます。
【宅建合格後の登録手続きの流れ】
宅建士の登録要件を満たしていない場合には、すぐに登録手続きを行うことができず、登録実務講習の受講が必要な点に注意が必要です。宅建士の登録の流れについて詳しくみていきます。
宅建士として登録するには、宅建試験に合格することが必要ですが、合格しても登録要件を満たしていなければ、すぐに登録手続きを行うことができません。
宅建士として登録するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
2年以上の実務経験がない場合には、国土交通省の登録を受けた実施機関による登録実務講習を受講して、修了試験に合格することで、登録を行えるようになります。登録実務講習は宅建試験の合格後でなければ受講することができません。
登録実施講習を受講するには、実施機関に直接申込み手続きを行います。1ヶ月程度通信講座で学んだ後、基本的に2日間のスクーリングを受講するという流れです。2日目の講習の終了後に実施される修了試験で8割以上正解すると合格となり、登録実務講習修了証が発行されます。
宅建の登録要件を満たした段階で登録手続きが可能になります。宅建士の登録には以下に挙げる多くの書類の準備が必要です。
主な必要書類 | 発行できる場所 |
登録申請書 | 各都道府県のホームページ |
誓約書 | 各都道府県のホームページ |
身分証明書 | 本籍地の市区町村 |
登記されていないことの証明書 | 全国の法務局・地方法務局(本局)の戸籍課 |
住民票 | 住所地の市区町村役場 |
合格証書 | ─ |
登録資格を証する書面 【実務経験が2年以上ある方】 実務経験証明書 【登録実務講習修了者】 講習実施機関の発行する修了証 【国や地方公共団体等における2年以上の実務経験者】 各団体の証明書など | (実務経験証明書)各都道府県のホームページ |
※都道府県によっては、宅建業に従事している場合は従業員証明書が必要になるなど異なる部分もあるため、詳細は各都道府県のホームページで確認してください。
宅建士の登録には登録手数料として3万7,000円が必要です。
宅建士の登録手続きは各都道府県の登録窓口で行います。窓口での申請のほか、都道府県によっては郵送による申請や電子申請も可能です
各都道府県の登録窓口や登録手続きの詳細は以下でご確認ください。
参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構|宅地建物取引士資格登録等の手続きについて
宅建士として登録後、宅地建物取引士証は、5年に1回の更新手続きが必要です。宅地建物取引士証の更新の際には、法定講習を受講する必要があります。法定講習は有効期限満了の6ヶ月前から受講することが可能です。更新費用は講習受講料1万2,000円、交付手数料4,500円で、合計1万6,500円です。
宅地建物取引士証を更新せずに有効期限が切れてしまった場合には、同様に法定講習の受講が必要です。改めて宅地建物取引士証の交付を受けるまでは、宅建士としての仕事はできません。
宅建士として働くためには登録手続きを行い、宅地建物取引士証の交付を受ける必要があります。一方で、宅建に一度合格すれば、資格が必要になったときにいつでも登録することもできます。実務経験がなくても、登録実務講習を受講して修了すれば登録が可能となることも魅力です。
不動産業界を目指す人はもちろん、宅建士の資格が今すぐに必要ではない人も、将来に備えて取得することを考えてみましょう。