宅建資格が活かせる仕事とは?不動産以外の業界で宅建資格を活かすポイントを紹介
宅建士の資格は不動産業界でしか役立たないというイメージを持たれる方が多いかもしれません。しかし、実際には不動産以外の業界でも、宅建士の資格を…
宅建士は人気のある国家資格の一つですが、どの程度の勉強時間を確保すると、合格に近づくことができるのでしょうか。宅建は資格取得のための予備校もありますが、独学で合格を目指す人もいます。
宅建士の資格取得を検討している方に向けて、独学や予備校を利用した場合の勉強時間の目安やスケジュール例、科目別の勉強時間の目安などを紹介していきます。
目次
宅建は独学でも十分に合格を目指すことができる資格ではあります。しかし、令和5年度宅地建物取引士資格試験を例に挙げると、合格率は17.2%と低く、独学で合格するには充分な勉強時間の確保が必要です。
独学で合格を目指しやすいのは、大学などで法律を学んでいた人や法律関連の資格の勉強をしたことがある人、あるいは不動産業界で働いている人などです。
一方で法律を学んだ経験がなく、不動産業界にも馴染みがない人にとっては、独学で宅建資格を取得するのは、ハードルが高いと感じる可能性があります。中でも難しいといわれることが多いのは民法です。
法律用語はもとより、民法的な考え方や、法律の条文や判例の読み方などを、参考書を読んでで理解していくのが難しいためです。また、宅建は試験範囲が広範囲に及ぶことも、合格には相応の勉強時間が必要とされる理由となっています。
宅建の合格に必要な勉強時間の目安は初学者のケースで、一般的に独学の場合は600時間程度、予備校に通う場合であっても400時間程度といわれています。
独学で合格を目指す場合は、学習にかかる費用は参考書や問題集の購入費用のみのため、費用を抑えられることがメリットです。教材が合わない場合は他の教材にすぐに切り替えられ、自分のペースで学習を進められます。また、通学に時間をとられることもありません。
一方で、疑問に思う点があっても聞くことができないため、自分でインターネットなどで調べなければならない点がデメリットといえます。人によっては勉強方法を考えたり、覚え方のコツをつかんだりするのが難しいと感じることがあるほか、試験日に間に合うように学習進度のスケジュール管理を行う難しさもあります。
予備校に通う場合は、講義を受けることで学習時間が確保され、カリキュラムに沿って勉強を進めていけば、スケジュール管理を行う必要もない点がメリットです。予備校によっては、わからないことを質問できます。予備校に通う場合は、受講費用がかかることがデメリットに挙げられます。
宅建に合格するには、最低でも3ヶ月の学習期間が必要です。宅建の試験は毎年10月に実施されていますので、遅くとも7月には勉強を開始する必要があります。
宅建合格を目指すためのスケジュール例を学習を開始する時期ごとに、独学で合格を目指す場合と予備校に通って合格を目指す場合に分けて紹介していきます。
11月から勉強を開始する場合、学習期間は11か月・48週・340日とします。
【独学で合格を目指す場合】
総学習時間 | 600時間 |
1か月の勉強時間の目安 | 55時間 |
1週間の勉強時間の目安 | 13時間 |
1日の勉強時間の目安 | 2時間 |
社会人は1日の学習時間を平日は1時間、休日4時間とすると、プライベートも大切にしながら学習に取り組めます。
【予備校に通って合格を目指す場合】
総学習時間 | 400時間 |
1か月の勉強時間の目安 | 37時間 |
1週間の勉強時間の目安 | 9時間 |
1日の勉強時間の目安 | 1時間30分 |
社会人は平日のうち2日間は1日1時間の学習を行い、休日は講習を含め1日3~4時間の学習とすると、ゆとりを持って取り組めます。
4月から勉強を開始する場合、学習期間は6か月・27週・190日とします。
【独学で合格を目指す場合】
総学習時間 | 600時間 |
1か月の勉強時間の目安 | 100時間 |
1週間の勉強時間の目安 | 23時間 |
1日の勉強時間の目安 | 3時間30分 |
社会人は1日の学習時間を平日2時間、休日6~7時間とするのがおすすめです。平日は無理のない範囲で勉強に取り組み、休日に集中して学習に励みます。
【予備校に通って合格を目指す場合】
総学習時間 | 400時間 |
1か月の勉強時間の目安 | 67時間 |
1週間の勉強時間の目安 | 15時間 |
1日の勉強時間の目安 | 2時間30分 |
社会人は1日の学習時間を平日は1時間、休日は講習を含めて5時間とするのがおすすめです。平日も休日もプライベートの時間を確保しながら、学習を進められます。
7月から勉強を開始する場合、学習期間は3か月・14週・100日とします。
【独学で合格を目指す場合】
総学習時間 | 600時間 |
1か月の勉強時間の目安 | 200時間 |
1週間の勉強時間の目安 | 43時間 |
1日の勉強時間の目安 | 6時間 |
社会人は1日の学習時間を平日は4時間、休日は11~12時間とするのが現実的です。3か月間は就業後や休日は勉強中心のハードな生活となります。平日も多くの学習時間が必要となるため、通勤時間を活用することも考えてみましょう。
【予備校に通って合格を目指す場合】
総学習時間 | 400時間 |
1か月の勉強時間の目安 | 134時間 |
1週間の勉強時間の目安 | 29時間 |
1日の勉強時間の目安 | 4時間 |
社会人は1日の学習時間を平日は2時間、休日は講義を含めて8~9時間、あるいは平日は3時間、休日は7時間とします。ややきついスケジュールとなるため、平日の残業の有無など、時間の確保のしやすさを考慮してスケジュールを組みましょう。
宅地建物取引士試験は次に挙げる4科目で構成されています。
科目によって合格するのに必要な勉強時間が異なるため、勉強時間を適切に配分する必要があります。科目別の勉強時間の目安を紹介していきます。
権利関係では民法を中心に、不動産登記法や借地借家法、区分所有法が出題範囲です。土地・建物の権利、売買、賃貸借、抵当権などに関わる契約について問われ、条文に関する問題のほか、判例や事例を用いた問題も出題されています。
権利関係は50問中14問が出題され、難易度が高いのが特徴。権利関係の勉強時間の目安は160時間です。
権利関係は出題範囲が広く、暗記で解いていくのが難しいことから、法律用語を覚えて理解を深めていくことが求められる科目です。また、民法は基本的に原則と例外があることを理解し、法律は弱者や悪意のない人を守る視点に立っていると考えると、わかりやすくなります。A・B・Cといった登場人物が出てくるときは図にして考えることもポイントです。
権利関係は理解に時間がかかりますが、時間をかけすぎて他の科目が疎かにならないように注意が必要です。
宅建業法は、宅地建物取引業法に規定された不動産取引のルールが出題されます。宅建業の免許など、重要事項説明書や37条書面、監督処分などについて問われます。また、宅建業法以外では、住宅瑕疵担保履行法からの出題もあります。
宅建業法からは50問中20問ともっとも多く出題され、もっとも点数をとりやすい科目でもあります。宅建業法の勉強時間の目安は120時間です。
宅建業法は配点が大きいことから、細かい点まで知識をしっかりと身につけておきたい科目です。比較的基礎的な問題が多く、テキストや過去問を繰り返し学習し、知識の定着を図ります。また、毎年、住宅宅瑕疵担保履行法から1問出題されていますので、こちらも過去問などから傾向をつかんでおくこともポイントです。
法令上の制限は、都市計画法と建築基準法のほか、国土利用計画法、土地区画整理法、農地法、宅地造成及び特定盛土等規制法などが出題範囲です。住みよい街づくりを実現するために、建築物を建てるときの法令上の制限に関して問われます。
法令上の制限の出題は50問中8問。同じ傾向の問題が出題されやすく、ポイントを絞って学習しやすい科目です。法令上の制限の勉強時間の目安は80時間です。
法令上の制限は専門用語を覚える必要がありますが、専門用語を理解して数字を暗記すると、比較的解きやすい科目です。都市計画法と建築基準法は例年2問ずつ出題されていますが、解きやすいといわれている国土利用計画法や農地法、宅地造成等規制法に関しても、しっかりと押さえておきましょう。
税・その他は、不動産取得税や固定資産税、登録免許税といった不動産取引に関わる税法が出題範囲です。
税・その他は50問中8問が出題されます。税・その他の勉強時間の目安は40時間です。
税・その他は出題範囲が広いですが、税法は基本的な知識を暗記しておけば、対応できる問題が中心です。不動産取得税や固定資産税、地価公示法、鑑定評価は頻出テーマのため、特に力を入れておきましょう。
社会人が宅建合格を目指すには、いかに学習時間を確保していくかが重要となります。平日も1日2時間や3時間といった学習時間を確保するには、通勤時間や昼休みなどのスキマ時間を活用するのも手です。
たとえば、朝は出勤前に30分、電車での通勤時間に各30分、昼休みに30分、帰宅後に1時間の学習時間がとれれば、1日3時間も確保できる計算になります。
宅建に合格するには、初学者は600時間といった多くの学習時間必要とします。試験の3か月前から学習を始めるとハードなスケジュールになりがちなため、遅くても半年前から学習を始めるのが望ましいです。計画的に宅建の勉強を進めていき、合格を目指しましょう。