ITパスポートは履歴書に書ける?書き方の例や転職時にITパスポートを活かすためのポイントを紹介
ITパスポートは、ITの基本的な知識を問われる国家試験です。難易度がそれほど高くないこともあり、どのように履歴書へ記入すればよいか迷ってしま…
ITパスポートは、ITに関する基礎知識の習得を証明できる国家資格です。ビジネスパーソンに必要な基礎IT知識が問われます。「情報処理技術者試験」の入門レベルに位置づけられ、難易度は比較的低く設定されています。本記事では、ITパスポート試験の概要や難易度、取得するメリット、効果的な勉強方法について詳しく解説します。IT業界への就職や転職を考えている方、現在の仕事でITスキルを活かしたい方に役立つ情報をお届けします。
目次
ITパスポートは、ITに関する基礎的な知識の習得を証明する国家資格で、ビジネスパーソンに必要な基礎IT知識が問われます。13種類ある「情報処理技術者試験」の中で最も入門的な位置づけにあり、難易度は比較的低く設定されています。
ITパスポートは、IT初心者でも適切な勉強を行えば合格できる水準です。この資格を取得することは、ビジネスにおけるIT活用の基礎知識を身につけたい方や、IT関連のキャリアをスタートさせたい方にとって、重要な第一歩となります。
MOSとITパスポートは、どちらもIT関連の資格ですが、その性質や目的が異なります。MOSはマイクロソフト社が認定する民間資格で、Word、Excel、PowerPointなどの実践的なスキルを証明します。一方、ITパスポートは国家資格であり、ITに関する幅広い基礎知識を問うものです。
試験形式にも違いがあり、MOSは実践形式の試験で、ITパスポートはコンピュータ画面に映し出される選択肢の中から答えを選ぶ形式の試験です。
転職時に即戦力となる実務能力を重視するのであればMOSが有利な場合もありますが、ITパスポートはより幅広いIT知識を証明できるため、一般的にはこちらの方がIT知識の理解度を示す資格として評価されます。
ITパスポート試験の概要は以下の通りです。
試験実施日 | 全都道府県で随時実施 |
申込受付期間 | 試験前日・正午前まで(クレジットカード、バウチャーの場合) |
受験資格 | なし(誰でも受験可能) |
出題分野・範囲 | ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系 |
出題数 | 100問 |
試験合格ライン | 総合評価点:600点以上/1,000点 かつ、分野別評価点:300点以上/1,000点 |
試験時間 | 120分 |
出題方式 | CBT方式 ・四肢択一式 |
試験会場 | 全国の試験会場で開催 |
受験費用 | 7,500円(税込) |
支払い方法 | クレジットカード/コンビニ払い/バウチャーより選択 |
CBT(Computer Based Testing)方式とは、コンピュータを使用して試験を行う方式です。受験者はコンピュータ画面に表示される問題に対して、マウスやキーボードを使って解答します。
試験日は公式サイトで最新の情報を確認してください。
ITパスポートの出題分野は以下の3つに分かれています。
出題分野 | 概要 | 出題数 |
ストラテジ系 | 経営全般に関する知識が問われます。財務・法務・経営戦略の特徴や基本的な考え方などが出題範囲です。 | 35問程度 |
マネジメント系 | 情報システムの開発、運用、保守に関する知識が問われます。 | 20問程度 |
テクノロジ系 | ITに関する技術的な知識(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなど)が問われます。 | 45問程度 |
ストラテジ系は、企業経営や経営、システム戦略に関する知識が問われます。例えば、企業活動や経営戦略マネジメント、システム戦略などです。
この分野では、企業活動や経営管理に関する基本的な考え方、SWOT分析やCRMなどの経営情報分析手法、情報システム戦略についての考え方などの勉強が必要です。
【マネジメント系過去問の例】
技術戦略の策定や技術開発の推進といった技術経営に直接の責任をもつ役職はどれか。(令和6年度ITパスポート試験 問6)
ア) CEO
イ) CFO
ウ) COO
エ) CTO
マネジメント系は、システム開発、プロジェクト管理、情報管理に関する知識が問われます。例えば、開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメントなどです。
この分野では、情報管理に関する基本的な考え方をはじめ、システム開発のプロセスやプロジェクト管理、システム監査などの勉強が必要です。
【マネジメント系過去問の例】
本番稼働後の業務遂行のために、業務別にサービス利用方法の手順を示した文書として、最も適切なものはどれか。(令和6年度ITパスポート試験 問45)
ア) FAQ
イ) サービスレベル合意書
ウ) システム要件定義書
エ) 利用者マニュアル
テクノロジ系は、基礎理論、コンピュータシステム、技術要素に関する知識が問われます。例えば、ネットワーク、セキュリティ、データベースなどです。
この分野では、ITの基礎となるコンピュータのシステム構成、通信プロトコルなどのネットワーク、マルウェアやリスクマネジメントといったセキュリティ、RDBMSなどデータベースに関する勉強が必要です。
【テクノロジ系過去問の例】
SSDの全てのデータを消去し、復元できなくする方法として用いられているものはどれか。(令和6年度ITパスポート試験 問63)
ア) Secure Erase
イ) 磁気消去
ウ) セキュアブート
エ) データクレンジング
ITパスポートは、情報処理技術者試験の中で最も入門的な位置づけにある試験です。そのため、難易度はそれほど高くありません。従ってIT初心者でも適切な勉強を行えば合格できます。
しかし、出題範囲が広いため、勉強は計画的にする必要があります。
また合格基準には総合評価点だけでなく、各分野で一定以上の点数を取ることも含まれるため、バランスの良い勉強も求められます。
ITパスポートの直近の合格率は以下の通りです。
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2020年 | 131,788人 | 77,512人 | 58.8% |
2021年 | 211,145人 | 111,241人 | 52.7% |
2022年 | 231,526人 | 199,495人 | 51.6% |
2023 | 265,040人 | 133,292人 | 50.3% |
合格率イコール難易度ではありませんが、おおよその目安として参考にすることができます。ITパスポートの合格率は50%前後で推移しており、他の国家資格と比較すると比較的高い合格率です。
この合格率を踏まえると、ITパスポートは決して受かりにくい試験ではないと言えるでしょう。適切な勉強の計画を立て、しっかりと準備をすれば、合格の可能性は十分にあります。
ITパスポートの合格には、総合評価点が600点以上/1000点であることと、3つの出題分野(ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系)それぞれで300点以上/1000点であることが必要です。
この基準は、特定の分野だけに偏った知識ではなく、幅広い知識や理解を求めていることを示しています。そのため、合格を目指す際は、全ての分野をバランスよく勉強することが重要です。
ITパスポートを取得することで、さまざまなメリットがあります。就職や転職に有利になるだけでなく、キャリアアップや学業にも活かすことができます。以下では、具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
【ITパスポートを取得するメリット】
● IT系上位資格の足がかりとなる
● 就職の際に有利に働く
● 大学受験や大学の単位取得に活かせる
ITパスポートは、IT関連の国家資格の入門の位置づけで、より上位の資格取得に向けた重要な足がかりとして活用できます。
ITパスポートを取得する中で身につけた基礎知識や用語の理解は、より専門的な内容を学ぶ際の土台となります。例えば、基本情報技術者試験に挑戦する際には、ITパスポートで学んだ知識が大いに役立ちます。
また、ITパスポート取得の経験は、試験対策のノウハウ取得や勉強方法の確立にもつながり、上位資格の取得をより効率的に進めることができます。
ITパスポートは国家試験であるため、履歴書に記載することができ、就職や転職活動において大きなアドバンテージとなります。現在、あらゆる業界でITの活用が進んでおり、IT知識を持つ人材の需要が高まっています。
ITパスポート取得は、IT知識の保持を客観的に証明するものとなります。特に、IT関連企業や、ITを積極的に活用している企業では、ITパスポート取得者を優遇する傾向が見られます。
また、新卒採用の条件としてITパスポートの取得を設定している企業も増えています。この資格は、IT業界だけでなく、さまざまな業界での就職や転職の際に役立つ可能性があります。
ITパスポートは、大学受験や大学での単位取得にも利用できる場合があります。一部の大学では、ITパスポート取得者に対して入試での優遇措置を設けています。
例えば、推薦入試での評価基準の一つとして認められたり、一般入試での加点対象となったりする場合があります。また、大学によっては、ITパスポート取得を単位認定の対象としているところもあります。
これは、大学での学習と実社会で求められるスキルの橋渡しとして、ITパスポートの価値が認められているためです。
このように、ITパスポートは学生にとっても大きなメリットがあり、将来のキャリアに向けた重要なステップとなります。
ITパスポートに合格するための勉強時間は、個人の経験や知識によって異なりますが、IT関連の知識がない場合は180時間程度、IT関連の基礎知識がある場合は100時間程度が目安とされています。
勉強方法としては、独学と通信講座、通学講座があり、それぞれに特徴があります。独学では、公式のシラバスを確認し、適切なテキストや参考書を選んで勉強を進めます。
一方、通信講座や通学講座では、体系的なカリキュラムに沿って勉強できます。どちらの方法を選ぶかは、自分の勉強スタイルや環境に合わせて決めることと良いでしょう。
効果的に勉強するためには、過去問題を解いて弱点を把握し、模擬試験で実践力を養うことも大切です。
独学で勉強を進める場合、以下のような手順がおすすめです。
独学で学ぶ際のポイントは、計画的に勉強を進めることと、定期的に自己評価を行うことです。また、わからない部分はインターネットで調べたり、オンラインフォーラムで質問したりするなどして、理解しておくことが大切です。
独学のメリットは、自分のペースで勉強を進められることと費用を抑えられることです。一方、デメリットとしては、モチベーションの維持が難しいことや、疑問点をすぐに解決できない場合があることがあげられます。
独学で効率的に勉強するなら、学研の「Shikaku Pass」がおすすめです。プロ講師による丁寧な授業のもと、厳選された過去問演習をいつでもどこでも実施できるのが特徴で、ITに関する知識だけでなく、企業活動、経営戦略、会計、法務など、IT活用の前提となる知識を幅広く、バランス良く習得できます。
通信講座や通学講座を利用する場合、以下のような流れで勉強を進めることができます。
通信講座や通学講座で勉強を進める際のポイントは、提供されるカリキュラムや教材を最大限に活用することです。また、講師や他の受講生とのコミュニケーションを積極的に取ることで、より深い理解を得ることができます。
この方法で学ぶメリットは、体系的な学習が可能なことや専門家のサポートを受けられること、モチベーションを維持しやすいことです。デメリットとしては、独学と比べて費用がかかることや、スケジュールの自由度が低くなる可能性があることがあげられます。
通信講座や通学講座は、体系的な学習を好む人や、質問できる環境を求める人、他の受講生と切磋琢磨したい人などに向いています。
ITパスポート試験は、ビジネスパーソンに必要なITに関する基礎的な知識の習得を証明する国家資格です。比較的取得しやすい難易度なので、幅広い年齢層がチャレンジできる試験と言えます。
この資格は、就職や転職で有利に働くだけでなく、大学受験や単位取得にも活用できたり、IT系上位資格取得への足がかりとなったりします。
試験内容は、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の3分野にわたり、幅広いIT知識が問われます。合格するためには、これらの分野をバランスよ勉強することが重要です。
勉強方法としては、独学や通信講座など、自分に合った方法を選べます。特に、Gakken LEAPが運営する新しい学習サービス「Shikaku Pass」は、効率的な学習をサポートしてくれます。
ITスキルの重要性が増す現代社会において、ITパスポートの取得は自身のキャリアアップに大きく貢献する可能性があります。ぜひ、挑戦を検討してみてはいかがでしょうか。